天神


東風吹かば 匂い起こせよ梅の花         
                主無しとて 春な忘れそ

左大臣『藤原時平』は、讒言により右大臣『菅原道真』を排斥する事に成功する。右大臣から「太宰権帥」へと左遷された道真は、九州大宰府へと実質上の流罪となる。史実によれば、その配流の2年の後、道真は、病に倒れ、都を遠く離れてなお、君恩を偲びながら、この世を去った。
神楽では、時平は、道真を排除し、悪事の限りを尽くし、清水寺舞台普請の大工と姿を変え、清水寺へと籠もり、天下に災いかけんと狙っていた。道真は、従者竹内大臣を連れ、時平を成敗し恨みを晴らさんと付けねらうが、捜し求める怨敵時平の姿が見つからず、中途思いを断ち切り、自害を考える。しかし、従者の勧めによって思いなおし、遂には、時平を見つけ出す。
しかし、時平は、詰め寄られてもなお、「都の大工」と嘯き、逃げようとするが、道真の仕掛けた和歌の問答の前に敗れ、敗北の屈辱から、遂には、その姿を現し、道真たちに襲い掛かる。

 激戦の末、遂に道真は、時平を討ち取る。讒訴の恨みから、荒ぶる御霊となった道真は、恨みを晴らし、北野天満宮へと鎮まる。




菅丞相  菅原 道真

随 臣   竹内大臣

 左大臣  藤原 時平