葛城の山は険しく道は無い
黒々見ゆるは 蜘蛛の古塚
平安中期、都の守りの要として摂津守の職にあった清和天皇の皇孫『源 頼光』は、原因不明の病の床で苦しんでいた。
その頼光の許を一人の来訪者が訪ねてくる。薬箱を携えた女官は、自ら「典薬頭よりの使い侍女胡蝶」と名乗り、妙薬と称し、頼光に薬箱の中身を差し出す。頼光は、疑いも無くその薬に口をつけるが、薬が喉を通るや、喉は、焼け付き、視界は、くらみ、気を失い倒れてしまう。
その背後、心持を問う胡蝶のが、髪振り乱し、本性を現す。この胡蝶こそ、大和国葛城山に年古くより住まい、王城転覆天下撹乱を狙う土蜘蛛の精魂であった。この大八州を我が物となさんと狙っていたが、頼光の武勇の前にその志を得ること叶わず、頼光をその手にかけんと狙っていたのである、しかし、すんでのところで意識を取り戻した頼光の振るう源家重来の宝刀『膝丸』を以って、襲い掛かる土蜘蛛の精魂に一太刀を入れ、これを退ける。
官舎に控えていた頼光の四天王の内、卜部六郎季武と坂田金時が格闘の物音を聞きつけ、駆けつける。頼光は、自らを襲った鬼神を葛城山の土蜘蛛と推察し、膝丸を『蜘蛛斬り丸』と改名し、季武に託し葛城山の鬼神退治を命じる。
大和国葛城山に着いた六郎、金時の両名は、怪しき古塚を土蜘蛛の岩屋と見定め、岩屋を砕き、土蜘蛛と大格闘の末、これを見事に討ち取る。
摂津守 源 頼光
侍女 胡蝶
四天王 卜部六郎季武
四天王 坂田童子金時
土蜘蛛の精魂